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親知らず抜歯のダウンタイム|痛みと腫れの経過を日数別に解説

親知らず抜歯のダウンタイム|痛みと腫れの経過を日数別に解説 川口市イオンモール川口3階の歯医者・矯正歯科「川口サンデー歯科・矯正歯科」です。

歯科医院で親知らずの抜歯を勧められたとき、「抜歯後の痛みや腫れはどれくらい続くのだろう」「仕事や日常生活にどのくらい影響が出るのだろうか」といった不安を感じる方は少なくありません。

この記事では、親知らず抜歯後の回復期間である「ダウンタイム」について、その経過を日数別に詳しく解説していきます。抜歯後の具体的な症状や、それぞれの日数における一般的な回復状況を事前に把握することで、不安を軽減し、安心して治療に臨めるようサポートいたします。

抜歯後の過ごし方や注意点、万が一のトラブルへの対処法まで網羅的にご紹介しますので、親知らずの抜歯を控えている方、または検討中の方は、ぜひ参考にしてください。

はじめに|親知らず抜歯のダウンタイムとは?

親知らずの抜歯を検討されている方にとって、「ダウンタイム」という言葉は馴染みが薄いかもしれません。しかし、抜歯後の生活において、このダウンタイムを事前に理解しておくことは非常に大切です。このセクションでは、まず親知らずがどのような歯であり、なぜ抜歯が必要になる場合があるのかを解説します。続いて、抜歯後のダウンタイム中に具体的にどのような症状が現れるのかについて、その全体像を分かりやすくお伝えします。回復期間を安心して過ごすための第一歩として、ぜひお役立てください。

親知らず(第三大臼歯)とは?抜歯が必要になるケース

親知らずは、正式には「第三大臼歯」と呼ばれる一番奥に生えてくる歯のことです。一般的には10代後半から20代前半にかけて生え始めますが、現代人の食生活ではその役割をほとんど失っています。そのため、きれいに生え揃うスペースがない場合も多く、さまざまなトラブルの原因となることがあります。

親知らずをそのままにしておくと、歯並び全体が乱れてしまうことがあります。また、一番奥に位置するため歯磨きがしにくく、虫歯や歯周病になりやすいだけでなく、周囲の歯茎に炎症を引き起こす「智歯周囲炎」と呼ばれる症状を招くことも少なくありません。これらの問題が悪化すると、強い痛みや腫れを引き起こし、日常生活に支障をきたす可能性もあります。

そのため、こうした将来的なトラブルを未然に防ぐ目的で、歯科医師から抜歯を勧められることがあります。特に、痛みや腫れを繰り返している場合や、他の歯に悪影響を与えている場合には、早期の抜歯が推奨されることが多いです。

抜歯後のダウンタイムで起こる主な症状

親知らずの抜歯後は、個人差はあるものの、いくつかの症状が現れるのが一般的です。これらを総称して「ダウンタイム」と呼びます。主な症状としては、「痛み」「腫れ」「出血」の3つが挙げられます。これらの症状は、歯を抜いたことによる生体反応として起こるもので、適切に対処すれば次第に治まっていくものです。

「痛み」は、麻酔が切れた後に感じ始めることが多く、処方された痛み止めを服用することでコントロールできます。この痛みは、抜歯の難易度によっても程度が異なりますが、通常は数日間で落ち着いてきます。「腫れ」は、抜歯部位の炎症によって起こるもので、抜歯後2日目をピークに徐々に引いていきます。特に下顎の親知らずを抜いた場合に顕著に出やすい傾向があります。

「出血」は、抜歯直後にガーゼを噛んで止血を行いますが、その後も唾液に少量の血が混じる程度であれば心配ありません。しかし、大量の出血が続く場合は、歯科医院への連絡が必要です。これらの症状は、誰もが経験する可能性のある正常な治癒過程の一部です。具体的な日数ごとの経過については、次のセクションで詳しくご紹介します。

【日数別】親知らず抜歯後のダウンタイムの経過

親知らずの抜歯後の回復は、多くの方が最も気になる点でしょう。このセクションでは、抜歯当日からの口内の変化や身体の反応を、具体的な日数ごとに詳しく解説します。痛みや腫れがいつピークを迎え、いつ頃症状が和らぎ、普段の生活に戻れるのかを時系列で追っていきます。ご自身のスケジュールと照らし合わせながら、回復の見通しを立てるための参考にしてください。

抜歯当日(0日目):手術直後〜麻酔が切れた後

親知らずの抜歯手術が終わった直後から、ダウンタイムは始まります。まず、抜歯箇所からの出血を止めるため、歯科医師から指示された通りにガーゼをしっかりと30分ほど噛んで圧迫止血を行ってください。この止血作業は、その後の回復をスムーズにするために非常に重要です。

麻酔が効いている間は痛みを感じることはほとんどありませんが、麻酔が切れてくると徐々に痛みが出てくるのが一般的です。痛みが始まる前に、歯科医師から処方された痛み止めを服用することをおすすめします。麻酔が効いている間は、唇や舌の感覚がないため、誤って噛んでしまわないよう注意が必要です。食事は麻酔が完全に切れてから、刺激の少ないおかゆやゼリー、スープなどの流動食から始めるようにしましょう。

抜歯当日は、激しい運動や長時間の入浴は避け、シャワー程度に留めるようにしてください。血行が良くなると、出血が再開したり、痛みが強くなったりする可能性があります。また、アルコールの摂取や喫煙も控えることが大切です。安静に過ごし、抜歯箇所を刺激しないように十分に注意して過ごしましょう。

抜歯後1日〜3日目:痛みと腫れのピーク

抜歯後の1日から3日目は、ダウンタイムの中でも特に痛みや腫れがピークを迎える時期です。痛みは抜歯の翌日に最も強くなることが多く、腫れは抜歯後2日後頃がピークとなるのが一般的です。この時期は痛み止めを適切に使用し、処方された抗生物質があれば、忘れずに指示通り飲み切ることが非常に重要になります。

腫れに対しては、濡らしたタオルなどを使い、抜歯した側の頬の外側から優しく冷やすと痛みの軽減につながることがあります。ただし、長時間冷やしすぎると血行が悪くなり、かえって治りを遅らせる可能性もあるため、注意が必要です。冷やしすぎないように、適度に休憩を挟みながら行ってください。

食事は引き続き、抜歯箇所に負担をかけないように、柔らかく刺激の少ないものを心がけましょう。噛む回数が少なく済むものや、口を大きく開けなくても食べられるものが適しています。また、抜歯した穴に食べ物が詰まらないように、反対側で噛むように工夫するのも良いでしょう。

抜歯後4日〜1週間:症状の緩和と抜糸

抜歯後4日目から1週間にかけては、痛みや腫れが徐々に引いてくる時期です。多くの方がこの頃になると、日常生活に大きな支障を感じなくなるでしょう。食事も、傷口に負担がかからない範囲で、少しずつ普段のものに近づけていくことができますが、まだ硬いものや刺激の強いものは避けるのが賢明です。

この時期には、抜歯した箇所の縫合された糸を抜く「抜糸」が行われることが多いです。抜糸は痛みを感じることはほとんどなく、ごく短時間で終わる処置ですので心配はいりません。抜糸を終えることで、さらに口の中の違和感が軽減され、快適に過ごせるようになります。

しかし、見た目の腫れや痛みが引いたとしても、抜歯した箇所はまだ完全に治癒しているわけではありません。引き続き、無理のない範囲での口腔ケアを継続し、歯科医師からの指示があればそれに従うようにしてください。

抜歯後1週間以降:ほぼ回復し通常の生活へ

抜歯後1週間が経過すると、ほとんどの痛みや腫れは治まり、普段通りの生活に戻れる方が多いでしょう。食事も通常のものが食べられるようになり、歯磨きも特に意識することなく行えるようになります。身体的な制限もほぼなくなり、激しい運動や飲酒なども再開できることがほとんどです。

ただし、抜歯した歯茎の穴は、まだ完全に塞がっているわけではありません。骨が回復し、歯茎の組織がしっかりと形成されるまでには、個人差はありますが数週間から数ヶ月かかることもあります。この期間は、抜歯箇所を清潔に保つことが非常に重要です。食べかすが詰まりやすいので、うがいや丁寧な歯磨きを継続してください。

完全に回復するまでは、定期的に歯科医院を受診し、経過を診てもらうようにしましょう。もし、この時期を過ぎても異常な痛みや腫れ、その他の気になる症状がある場合は、自己判断せずに速やかに歯科医師に相談することが大切です。

ダウンタイムを安静に過ごすための注意点

親知らずの抜歯後、痛みや腫れを最小限に抑え、できるだけ早く日常生活に戻るためには、抜歯後の過ごし方がとても重要になります。ここでは、抜歯後の回復を早めるために、食事、セルフケア、日常生活、そして仕事復帰の4つの観点から、具体的に「やるべきこと」と「避けるべきこと」を詳しく解説します。これらの注意点を事前に把握しておくことで、安心して抜歯後の期間を過ごすことができるでしょう。

食事について:おすすめの食べ物と避けるべきもの

親知らずの抜歯後は、傷口を刺激しないよう食事内容に特別な注意が必要です。抜歯直後から回復期にかけては、段階的に食事を調整していくことが大切になります。

抜歯当日は麻酔が効いているため、食事は麻酔が完全に切れてから摂るようにしてください。この時期は、傷口に負担をかけないよう、おかゆ、ゼリー、ヨーグルト、ポタージュスープ、豆腐、プリンのような柔らかく刺激の少ないものがおすすめです。熱すぎるものや冷たすぎるものは避け、人肌程度の温度で摂るようにしましょう。また、ストローを使うと口の中が陰圧になり、血餅が剥がれてしまう「ドライソケット」のリスクが高まるため、控えてください。

抜歯後数日が経過し、痛みが落ち着いてきたら、徐々に普段の食事に戻していくことができます。ただし、硬いせんべいやナッツ類、口の中に残りやすいひき肉や葉物野菜、辛いものや酸っぱいものといった刺激の強い食べ物は、傷口を刺激したり、食べかすが詰まったりする原因となるため、完全に治癒するまでは避けるのが賢明です。栄養バランスの良い食事を心がけ、身体の内側からも回復を促しましょう。

セルフケア:歯磨きやうがいの方法

親知らず抜歯後の口内は非常にデリケートな状態です。傷口を清潔に保ちつつ、刺激を与えないように慎重なセルフケアが求められます。特に歯磨きとうがいは、抜歯後の回復に大きく影響するため、正しい方法を実践することが大切です。

抜歯当日は、強いぶくぶくうがいは絶対に避けてください。軽く口に水を含み、傾ける程度に留めるのが良いでしょう。強くうがいをすると、抜歯窩にできた血の塊である血餅(けっぺい)が剥がれてしまい、「ドライソケット」と呼ばれる痛みを伴う状態を引き起こす可能性があります。血餅は傷口を保護し、骨や歯茎が再生するための重要な足場となるため、決して剥がさないように注意が必要です。

歯磨きについても、抜歯箇所の周囲は避けて、それ以外の歯を優しく磨くようにしてください。抜歯した部位に直接歯ブラシが当たらないよう、慎重に行いましょう。数日経って痛みが落ち着いてきたら、歯科医師の指示に従い、徐々に抜歯箇所の周囲も清潔にするようにします。市販のうがい薬ではなく、歯科医院で処方された殺菌作用のあるうがい薬を使用することで、感染のリスクを抑え、より効果的なケアが期待できます。

日常生活:運動・入浴・飲酒・喫煙について

親知らず抜歯後は、血行が促進されるような行動は控える必要があります。血流が良くなると、痛みや腫れが増したり、再び出血したりするリスクが高まるためです。回復を早めるためには、以下の点に注意して過ごしましょう。

激しい運動や長時間の入浴は、抜歯後2〜3日間は避けるのが賢明です。シャワー程度であれば問題ありませんが、湯船に浸かるのは控えるか、短時間で済ませるようにしましょう。運動も、ウォーキングなど軽いものであれば良いですが、心拍数が上がるような激しい運動は、抜歯箇所の血管が広がり、出血や痛みを誘発する可能性があるため、少なくとも1週間程度は控えてください。飲酒も同様に、血行を促進し、消毒薬や抗生物質との相互作用も考慮し、抜歯後数日間は控えることが推奨されます。

特に注意が必要なのが喫煙です。タバコに含まれるニコチンは血管を収縮させ、血行を著しく阻害します。これにより、傷の治りが遅れるだけでなく、血餅がうまく形成されなかったり、剥がれやすくなったりして「ドライソケット」のリスクを大幅に高めてしまいます。ドライソケットは非常に強い痛みを伴い、治癒期間も長引くため、抜歯後少なくとも1週間は禁煙することが強く推奨されます。できれば、この機会に禁煙を検討することをおすすめします。

仕事や学校はいつから行ける?休む期間の目安

親知らずの抜歯後、仕事や学校へいつから復帰できるかは、抜歯の難易度や個人の回復力、そして仕事や学校の内容によって異なります。一般的には、抜歯翌日から通常の生活に戻れることが多いですが、いくつかの注意点があります。

一般的なデスクワークなど、身体をあまり動かさない仕事であれば、抜歯翌日から復帰できる場合も少なくありません。しかし、親知らずの抜歯は、特に埋伏している場合や炎症が強い場合には、翌日以降も痛みや腫れが続くことがあります。そのため、痛みや腫れのピークである抜歯後2〜3日間は、できるだけ休養をとるのが安心です。特に、身体を動かす仕事や、人前に出る仕事の場合は、回復期間を十分に確保することが望ましいでしょう。

抜歯後のスケジュールを決める際は、事前に歯科医師とよく相談し、自身の仕事内容や体力的な状況を伝えることが重要です。歯科医師は、抜歯の難易度や予後を考慮して、適切な休養期間の目安をアドバイスしてくれます。無理をしてすぐに仕事や学校に復帰しようとせず、自身の体調を最優先に考え、しっかりと休んで回復に専念することで、結果的に早期の復帰につながります。

注意したい抜歯後のトラブル「ドライソケット」

親知らずの抜歯後、多くの方が経験する痛みや腫れは、通常数日で落ち着きます。しかし、中にはいつまでも痛みが治まらず、強い不快感を伴うトラブルが発生することがあります。それが「ドライソケット」です。このセクションでは、ドライソケットがどのような状態なのか、なぜ起こるのか、そしてどうすれば予防できるのかを詳しくご説明します。万が一、強い痛みが続く場合の対処法や、歯科医院を受診する目安についても解説しますので、不安なく抜歯後の回復に臨んでいただけるよう、ぜひ参考にしてください。

ドライソケットとは?症状と原因

ドライソケットとは、親知らずを抜いた後の穴(抜歯窩)を覆うはずの血餅(けっぺい)、いわゆる「血のかさぶた」が何らかの原因で剥がれてしまい、その下にある骨がむき出しになってしまう状態を指します。通常、抜歯後の穴は血餅によって保護され、それが新しい骨や歯肉に置き換わることで治癒していきます。しかし、血餅が失われると、骨が外部の刺激にさらされてしまい、強い痛みを引き起こすのです。

ドライソケットの症状は、抜歯後3〜4日経ってから痛みがぶり返し、徐々に強くなっていくのが特徴です。通常の抜歯後の痛みは、時間が経つにつれて和らいでいくものですが、ドライソケットの場合は持続的で、時には耳やこめかみまで響くような激しい痛みを伴うことがあります。また、口臭が強くなったり、抜歯窩に食べかすが詰まりやすくなったりすることも症状として挙げられます。

ドライソケットの主な原因としては、抜歯後に激しいうがいをしすぎること、舌や指で抜歯窩を触ってしまうこと、そして喫煙が挙げられます。強すぎるうがいは、せっかくできた血餅を洗い流してしまう可能性があります。また、喫煙は血行を悪くし、傷の治りを遅らせるだけでなく、血餅の形成を妨げる原因にもなります。これらの行動は、抜歯後のデリケートな傷口に悪影響を及ぼし、ドライソケットのリスクを高めてしまうため注意が必要です。

ドライソケットの予防法

ドライソケットは一度発症すると治癒に時間がかかり、辛い痛みを伴うため、何よりも予防が大切です。予防のために、いくつか実践していただきたいことがあります。

まず、抜歯後1〜2日は、激しいうがいを避けてください。ブクブクと強くうがいをしてしまうと、抜歯窩にできた血餅が剥がれてしまう可能性があります。うがい薬を使用する場合も、優しく口に含んで静かに吐き出す程度に留めましょう。また、舌や指で抜歯した穴を触らないことも非常に重要です。気になって触ってしまうと、血餅が剥がれるだけでなく、細菌感染のリスクも高まります。

そして、最も重要な予防策の一つが「喫煙を控えること」です。タバコに含まれるニコチンは血管を収縮させ、血流を悪くする作用があるため、傷口の治癒を妨げてしまいます。さらに、喫煙時の吸引動作そのものが抜歯窩の血餅を剥がす原因となることもあります。抜歯後少なくとも1週間は禁煙することが、ドライソケット予防のために強く推奨されます。

その他、辛いものや熱いものなど、刺激の強い食べ物は避けてください。これらは傷口を刺激し、血餅の安定を妨げる可能性があります。抜歯後の数日間は、柔らかく、刺激の少ない食事を心がけ、安静に過ごすことがスムーズな回復につながります。

こんな症状はすぐに歯科医院へ|受診の目安

抜歯後の痛みや腫れは、通常1週間程度で徐々に和らいでいくものですが、もし以下の症状が見られた場合は、自己判断せずにすぐに歯科医院へ連絡し、受診してください。早期に対応することで、症状の悪化を防ぎ、適切な治療を受けることができます。

受診の目安となる具体的な症状は以下の通りです。

痛み止めを飲んでも全く効かない、または痛みが強くて日常生活に支障が出る

抜歯後3〜4日経ってから、一度和らいだ痛みが再び強くなってきた

多量の出血が止まらない(ガーゼで30分以上圧迫しても血が止まらない、口の中に血が溜まるなど)

抜歯後の腫れが1週間以上経っても引かない、または悪化している

抜歯窩から悪臭がする、または膿が出ているように見える

発熱を伴う、または全身の倦怠感が強い

これらの症状は、ドライソケットだけでなく、他の合併症や感染症の兆候である可能性もあります。特に、痛み止めが効かない強い痛みが続く場合や、抜歯後数日経ってから痛みがぶり返す場合は、ドライソケットの可能性が高いと考えられます。不安な時は遠慮せず、まずはかかりつけの歯科医師に相談し、指示を仰ぐようにしましょう。

親知らず抜歯に関するよくある質問

親知らずの抜歯を検討されている方々から寄せられる、ダウンタイムに関する疑問のほかにも、抜歯そのものに対する様々な疑問があります。このセクションでは、親知らずの抜歯の必要性、手術中の痛みの程度、複数本の同時抜歯の可否、そして抜歯に適した年齢など、皆さんが抱きやすい共通の疑問についてQ&A形式で詳しくお答えしていきます。これらの情報が、親知らずの抜歯に対する皆さんの不安を軽減し、安心して治療に臨むための一助となれば幸いです。

Q1. 親知らずは必ず抜かないといけませんか?

親知らずは、必ずしもすべての方にとって抜歯が必要なわけではありません。まっすぐに生えていて、きちんと噛み合っており、歯磨きもしっかりと届くような状態であれば、抜歯せずに経過観察となることもあります。このような親知らずは、他の歯と同じように機能し、特にトラブルを引き起こす心配がないため、無理に抜く必要はありません。

しかし、親知らずが横向きや斜めに生えて他の歯を圧迫している場合や、歯茎に一部が埋まったままになっている場合は、様々な問題を引き起こす可能性が高まります。例えば、親知らずと手前の歯の間に食べカスが詰まりやすく、虫歯や歯周病のリスクが高まります。また、親知らずの周りの歯茎が炎症を起こす「智歯周囲炎」を繰り返すこともあります。さらには、親知らずが原因で手前の歯が押され、全体の歯並びが乱れてしまうこともあります。

このような将来的なトラブルを未然に防ぐために、予防的な抜歯が推奨されるケースが多いです。最終的な判断は、患者さんのお口の状態や、将来的なリスクなどを総合的に考慮し、歯科医師が行いますので、まずは専門家にご相談いただくことが大切です。

Q2. 抜歯中の痛みはどれくらいですか?

親知らずの抜歯手術は、局所麻酔をしっかりと効かせてから行いますので、術中に痛みを感じることはほとんどありません。麻酔が十分に作用していることを確認してから治療を始めますので、ご安心ください。

ただし、麻酔が効いていても、歯や顎の骨を触る際の「押される感覚」や「引っ張られる感覚」、器具を使用する際の「音」や「振動」を感じることはあります。これらは痛みとは異なり、麻酔が効いている証拠でもありますので、もし不安を感じたら遠慮なく歯科医師やスタッフにお声がけください。

痛みに特に敏感な方や、治療に対する恐怖心が強い方には、静脈内鎮静法という選択肢もあります。これは、点滴から鎮静剤を投与することで、リラックスした状態で手術を受けられる方法です。ウトウトと眠っているような感覚で治療が進み、術中の記憶もほとんど残らないことが多いです。ご希望の場合は、事前に歯科医師にご相談いただければ、最適な方法をご提案させていただきます。

Q3. 上下の親知らずは同時に抜歯できますか?

はい、片側の上下の親知らずを同時に抜歯することは一般的によく行われる処置です。片側の上下2本を同時に抜歯することで、麻酔の回数を減らせるほか、通院回数を短縮できるというメリットがあります。患者さんの時間的負担を軽減できるため、多くの歯科医院で推奨されています。

しかし、左右両方の上下4本を同時に抜歯することは、食事の際に非常に困難を伴うため、通常は行われません。両方の口元に痛みや腫れがあると、固形物を摂取するのが難しくなり、栄養面でも回復に影響を及ぼす可能性があります。そのため、複数の親知らずを抜歯する場合でも、通常は片側ずつ、もしくは時期をずらして抜歯を進めていきます。

どちらの方法が適切かは、患者さんのお口の状態や、親知らずの生え方、そして患者さんのライフスタイルや希望を総合的に考慮して歯科医師が判断します。治療計画を立てる際に、ご自身の希望や懸念事項をしっかりと歯科医師に伝えて相談することが重要です。

Q4. 若いうちに抜いた方が良いのは本当ですか?

「若いうちに親知らずを抜いた方が良い」というのは、一般的に正しいとされています。これにはいくつかの医学的な理由があります。

まず、若年者の顎の骨は比較的柔らかく、弾力性があるため、親知らずの抜歯手術が比較的スムーズに進みやすい傾向にあります。また、若い方は親知らずの根っこがまだ完全に形成されていないことが多く、骨と癒着している部分が少ないため、抜歯時の負担が軽減されることがあります。

これらの要因により、若いうちに抜歯を行うと、手術時間の短縮につながり、術後の痛みや腫れも比較的軽度で済む可能性が高まります。回復も早く、日常生活への復帰もスムーズに進みやすいと考えられています。

もちろん、年齢を重ねてからでも親知らずの抜歯は可能ですが、年齢とともに顎の骨が硬くなり、親知らずの根っこがしっかりと完成してしまうと、抜歯が難しくなることや、術後の回復に時間がかかることがあります。そのため、もし歯科医師から親知らずの抜歯を勧められた場合は、若いうちの方がメリットが大きいことを理解し、前向きに検討することをおすすめします。

まとめ:ダウンタイムを正しく理解して親知らず抜歯に備えよう

親知らずの抜歯は、多くの方が不安に感じる歯科治療の一つかもしれません。しかし、抜歯後のダウンタイムにおける痛みや腫れの経過、そして適切な過ごし方を事前に把握しておくことで、その不安は大きく軽減されます。

この記事を通じて、抜歯当日から1週間後までの具体的な症状の推移、痛みのピーク、腫れのピークがいつ来るのかを理解できたことと思います。また、食事の工夫や正しい歯磨き・うがいの方法、そして喫煙や飲酒などの日常生活における注意点も確認できました。

ドライソケットといったトラブルの予防法や、万が一の際に歯科医院を受診する目安についても知ることで、安心して回復期間を過ごせるはずです。親知らずの抜歯は、将来的なお口の健康を守るための大切な処置です。かかりつけの歯科医師とよく相談し、自身の状況に合わせた最適な治療計画を立てて、安心して抜歯に臨んでくださいね。

 

少しでも参考になれば幸いです。
本日も最後までお読みいただきありがとうございます。

 

監修者

成田 展章 | Nobuaki Narita

東北大学歯学部卒業後、千葉国際インプラントセンターに勤務、
2015年しらかわファミリー歯科開業、2021年川口サンデー歯科・矯正歯科開業

 

【略歴】

東北大学歯学部 卒業
千葉国際インプラントセンター
しらかわファミリー歯科開業
川口サンデー歯科・矯正歯科開業
浦和サンデー歯科・矯正歯科開業

 

川口市イオンモール川口3階の歯医者・矯正歯科
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住所:埼玉県川口市安行領根岸 3180 イオンモール川口3階
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