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歯を削らずに虫歯治療ができる「ドックベストセメント」とは?


ドックベストセメントとはアメリカで開発された製品、治療法のことです。
アメリカでは20年以上前に開発され、虫歯治療として広く浸透しております。
成分には、銅イオン、鉄イオンが配合されておりこれらのイオンで虫歯菌を殺菌、さらに複数のミネラルで歯の再石灰化を促し、イオン成分は半永久的に効果が持続するといわれています。
この効果を利用して虫歯の部分を全て削る治療ではなく、虫歯になった部分も可能な限り残してドックベストセメントを塗って虫歯治療をおこないます。
出来る限り削らない治療になるので治療時に痛みが出にくく、麻酔をしなくて良い場合もあるので体への負担も軽減されます。
安全性についても天然ミネラルを主成分としているので副作用もほとんどなく、お子さんや妊婦さんなどにも安心して使用できる材料になります。

従来の虫歯治療とドックベストセメント治療の違い

ご存じの通り、現在の虫歯治療は虫歯になっている部分を削り、その削り取った部分に白い樹脂の詰め物や銀色の被せものなどをするのが一般的となっております。
そして従来の虫歯治療では“虫歯部分を全て取り除く”というのが基本となります。
虫歯になっている部分が大きいときには、その虫歯菌に感染してしまった神経近くの歯質も取り除く必要があります。
そのため神経近くまで虫歯が進行した場合などは、神経自体も取り除かないといけない場合があります。
歯の神経を取ってしまうと残っている歯の部分がもろくなり、結果歯の寿命が神経の残っている歯と比べると短くなってしまうことがあります。

その点ドックベストセメント治療は歯の削る量を減らせることが期待できる治療となります。
金属イオンの力で虫歯部分の殺菌、ミネラルの力で自然治癒を活かした治療ということで、アメリカでは広く浸透しております。
この治療法は歯の削る量が従来の治療法より減るので、神経を取るしか方法がないと言われた歯でも神経を取らなくて済む場合が多くなります。
また従来の治療では、虫歯の進行具合にもよりますが神経の治療となると1つの歯で何回もの治療回数がかかりますが、それに比べドックベストセメント治療では1~3回の治療回数で済むことがほとんどです。

ドックベストセメント治療と3Mⅸ法の違い

まず、3Mⅸ法についてご説明させていただきます。
3Mⅸは、3つの混合した薬剤を使用した治療法になります。
混合薬剤の内容としては、
・メトロニダゾール
・ミノマイシン
・シプロキサン
これらの3種類の抗生物質をマクロゴールとプロピレングリコールという基材と混ぜてペーストにしたものになります。
抗菌薬になりますので、歯の中の病原菌を殺菌、無菌化することができます。

どちらも優れた治療法ではありますが、それぞれ違いがあります。

劣化について

3Mⅸ法は光に弱く、薬剤が光に当たると殺菌効果が落ちてしまいます。
それに比べドックベストセメントは光で劣化することはないので、歯科治療でよく使用する光で固める治療にとても適しています。
また3Mⅸ法は、マクロゴールとプロピレングリコールを基材としてペースト状にしており、固まる性質もありませんので、しっかりと蓋をしないと治療箇所から流れでてしまう可能性があります。
ドックベストセメントはと言いますと、名前にセメントとついているように接着剤ですのでしっかりと固まり、流れ出ることはありません。
《殺菌の期間について》
・3Mⅸ法 → 薬剤を混ぜてから殺菌効果は24時間。さらに24時間という時間はきっちり密閉されている環境での効果時間になります。
・ドックベストセメント → 成分の鉄と銅イオンの殺菌力が永久的に続くことができます。

ドックベストセメントのしくみ

1.虫歯菌の殺菌:銅、鉄イオンが虫歯菌の細胞膜を破壊し、殺菌します。
2.再石灰化の促進:ミネラル成分が歯の組織と結合し、再石灰化を促します。
3.虫歯の進行抑制:固まったドックベストセメントが物理的なバリアとなり、虫歯の進行を抑制します。

ドックベストセメントの治療が難しいケース

残念ながら、ドックベストセメントでの治療は全ての虫歯治療に適しているわけではありません。
ドックベストセメントでの治療での回復が難しい場合についてご紹介いたします。

夜眠れないほどの痛みが続いている

ズキズキ我慢できないほどの痛み方をしている場合は、神経の炎症が起きていることが多く、その場合はドックベストセメントを用いて治療するより、炎症をおこしている神経の治療を行った方がお痛みが出にくい場合があります。

歯の神経が死んでしまっている場合

ドックベストセメントは神経を残すための治療ですので、歯の神経が死んでしまっている場合には有効な治療法とは言えないかもしれません。

虫歯が歯茎の下まで進んでいる

ドックベストセメントを詰める際に、歯茎の下まで大きく虫歯が進んでいると密閉が難しくなりますので、あまりおすすめできません。

歯が割れてしまっている場合

割れ方の方向にもよりますが縦方向に深く割れていると、神経が露出していたり、ドックベストセメントが密閉できないなどの理由により歯の保存が難しい場合があります。

まとめ

ドックベストセメント治療は、従来の大きく削る治療よりも患者様にかかる負担が少ないと言えます。
従来の削る量と比べても少なく、また、歯の再石灰化を促進し、自然治癒力を生かした治療法ですので、その分治療回数も少なくてすみます。
当院では神経温存にこだわって治療させていただいております。
ドックベストセメント治療に関して、ご興味等ございましたらお気軽にお問合わせくださいませ。